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GC-010E for BP5/BL5&SG9
専用設計へのこだわり
モータージャーナリストの斉藤 聡氏から1本の連絡が入ったのは、いよいよ開発が大詰めを迎え、試作ホイールがもうすぐ出来上がるという時だった。「ブレンボの大型キャリパーを装着しても履かせられるレガシィ用18インチホイールがリリースされるって聞いたんだけど、それっていつ頃出そう? できたら早速テストしてみたいんだけど・・・」。斉藤 聡氏といえば、卓越したドライビングセンスを持つ、スバルユーザーにとって兄貴的存在のモータージャーナリスト。そんなユーザーを代表しての斉藤氏からの取材依頼を、我々は二つ返事で受けた。
プロドライブ・ジャパンとしては、今回のように他社製ブレーキキット用にホイールを専用開発するのは異例の出来事だった。一部の熱狂的ユーザーから始まった、インプレッサ用のブレンボブレーキをレガシィに移植するというブレーキチューンは、今やトレンドになりつつあり、あのSTiからもレガシィ用のブレンボ・コンバージョンキットが出るなど、今後ますます定番チューンになりそうな気配だ。
とはいうものの、ブレンボキャリパーをレガシィに装着した場合、履かせられるホイールはといえば、レガシィS401 STiバージョンの純正ホイールかSTiホイール、もしくはインプレッサ用の純正ホイールを移植するしか選択肢がないのが現状だった。市販されている「大型キャリパー対応インプレッサ用ホイール」の多くは、レガシィに履かせるとなるとホイールハウスの形状の違いから、車体側のフェンダー内をいわゆる“ツメ折り”する必要が出てきてしまう。ブレンボの4ポットキャリパーを装着し、かつ車体に手を加えずに履かせられるホイールとなると、もはやそれ専用のものを設計するしか手段がなかったのだ。
妥協できない3つの条件
開発にあたり最も苦労したのは、レガシィにジャストフィットする7.5J×18インチという基本サイズを守りつつ、リムの部分とキャリパーとの干渉を避け、かつ必要な剛性を確保するという条件を、すべて限られた寸法の中でクリアしなければならないことだった。キャリパーとホイールの間に空間を確保するには、一般的にはスペーサーをかませたり、タイヤが外側に出るようにオフセットで調整すればいいが、レガシィでそれをやるとフェンダーからタイヤがはみ出してしまう。となると、キャリパーとの干渉を避けるためにはリムを湾曲させてなければならない。ただし、我々にはどうしても妥協できない条件が3つあった。それは「デザイン」と「品質」、そして「フィッティング」。これらは我々がプロドライブホイールに追求しているキーファクターだからだ。
そこで、まず「デザイン」については、定評ある「GC-010E」の伸びやかな10本スポークをそのまま継承することに決めた。今回のような寸法的な制約の厳しい中で求められる強度を出すという意味でも、荷重が多方向に分散される10本スポークは都合が良かったのだ。「品質」というのはいうまでもなく、“プロドライブ・クオリティ”を確保することを意味する。ホイール製作の際の基本項目であるアウター部とディスク部の破断試験はもちろんのこと、我々はプロドライブ製のホイールに対して、“真円度”や“振れ精度”という独自の厳しい品質基準を設定している。それは今回のホイールについても同様だ。
「フィッティング」に関しては、ホイール交換によるドレスアップ効果を高める上で欠かすことのできない装着時の“美しさ”や“面一度”にこだわり、さらにカラーリングをブリティッシュゴールド、ブリティッシュブラック、それにメタルシルバーの3色を揃えることで、様々なボディカラーとのマッチングとユーザーの嗜好に合わせた選択肢を用意することで対応した。
こうしてすべての条件をクリアしてできあがった試作ホイールをさっそくブレンボブレーキ装着のレガシィに履かせてみると、問題のキャリパーとリムの間には、指を挟み込めるくらいの十分なクリアランスが確保されていることが確認できた。サイズは、7.5J×18インチ、オフセットは47で、PCDは100。このスペックに必要な520kgの耐荷重もクリアしている。これなら吸排気系や足回りなどに手が加えられた、いわゆる定番ライトチューンのレガシィにもしっかり履かせられる。我々は斉藤 聡氏との約束通り、試作ホイールを真っ先に彼に箱根でテストしてもらうことにした。
プロトタイプ試乗
'04 Model GC-05F
取材協力:ATS-BM 八王子
当日、斉藤 聡氏はリムの隙間からブレンボキャリパーを覗くレガシィの足回りを見て、「おぉ、バッチリ決まっているね。面一度は申し分ないし、このカラーリングだとキャリパーとホイールがゴールドで統一されていて、なおさらカッコよく見えるよ」と、ひとまずスタイリングに満足してもらえた様子。そして彼はすぐさまレガシィのドライバースシートへと乗り込んでいった。いよいよGC-010Eの真価が試される時が来たのだ。
斉藤 聡氏は試乗から戻ってくると、「うん、ワインディングを攻めても“隙”がまったく見あたらないね。バネ下のバタツキ感がないのは鍛造1ピースの軽量構造が効いている証拠だと思うし、コーナーでタイヤに荷重が掛かった状態でステアリングを切り足しても、タイヤの接地感や路面からのインフォメーションをしっかり感じ取れる。それはタイヤの性能に関わってくることだけれど、ホイールにもソリッド感がないと、こういうビシッとした手応えにはならないだろうからね。それになにより、このブレンボキャリパーを装着しながら、車体にまったく手を加えずスマートに乗れるっていうところが嬉しい。こういうホイールを待っていたユーザーって多いと思うよ」。
これで我々は自信を持って、ブレンボブレーキ対応のレガシィ専用18インチ「GC-010E」の市販化にGOサインを出すことができた。
斉藤 聡
自動車雑誌の編集部員を経て、フリーのモータージャーナリストへ。ドリフト走行なども軽くこなしてしまう、その抜群の運転テクニックがスポーツカーファンを魅了。
日本カーオブザイヤー選考委員も務めている。
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